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制度信用取引もストレスを感じさせない要因

長期的トレンドをながめてみると、七五年以降の状況は、電気機械、精密機械、半導体、輸送用機械(とくに自動車)などが伸びる一方で、低下傾向にあるのは鉱業、非鉄金属、繊維、皮革など。 これは素材型産業から自動車、家電などの加工組立型産業へ、さらに最近は「軽薄短小」といわれるような半導体素子、集積回路などの高付加価値の部門の伸びが著しいのが目立ち、産業構造が大きく変化していることを物語っている。

「鉱工業生産指数」は景気の動きを反映するという特徴が、最近崩れかけている。 というのは、経済活動には鉱工業のほかに農林漁業、建設、運輸、通信サービスなどさまざまな分野がある。
かつてはモノを作る第二次産業(製造業)のウエートが大きかったが、次第に低下し、代わって第三次産業の比率が高まっている。 GDPベースで見ると、七〇年には第二次産業が四四%、第三次産業が五二%だったのに対し、一五年後の八五年には第二次産業が三八%に下がり、一方、第三次産業は六一%と六〇%を超えた。
さらに、九五年には両者の比率は三五対六五まで開いている。 ということは、景気に対して鉱工業生産の影響が小さくなっていることを示すわけだ。
工場が海外に進出して、日本で生産する比率が大幅に減って、第三次産業中心の産業構造になったとしたら、鉱工業生産は伸びないのに景気は良くなるといった現象が起こるかもしれない。 そういう意味で、鉱工業生産指数は重要な指標だが、すべてではないということを忘れるわけにはいかない。
また、採用品目を五年ごとに改定しているが、基準年には、生産額が小さかったり、製品化されていなかったものが急に普及して生産が増えた場合、実態よりも低い数字を示すことになる。 エレクトロニクス関連の機器が開発された場合などが好例だ。
たとえば産業用ロボット、ファクシミリなどが採用されたのは、八〇年基準の鉱工業生産指数に切り替わった八三年からで、それまでは産業用ロボットがいくら生産されても指数には載ってこなかったのである。 また、この指数の問題点としては、R方式をとっているところからくる〃ひずみがある。
基準年の生産額、つまり、価格と数量をもとに全体を一〇〇としてウエートを決めるが、五年経過するとハイテク製品などは値段が急激に下がったため、生産が大きく増えたのに次の基準年ではウエートがあまり増えないことにもなる。 しかもいったんウエートが決まると、その後の五年間は生産は原則として数量で表している。
鉄が何トン、自動車が何台といった具合。 付加価値の高い良質な鉄も、安くしか売れない鉄も同じ一トンは一トン。

地金などは同じものがずっと作られるが、ハイテク産業や自動車、精密機械などでは同じものを何年間も作り続けることはあり得ない。 こうした問題点は経済指標の重要性を否定するものではないが、使う段階で念頭に置いておく必要があろう。
産業にもしわ寄せが及び、景気が実際に悪くなってしまう。 これとは逆に、足元の景気は悪くても、経営者が景気の先行きが明るいと感じれば、景気が良くなった時に品不足にならないように、多少のリスクを負っても増産のための設備新設など、前向きな投資を始める。
今度は、景気の先行きに不安を持った時とは逆に、資金の流れが拡大の方向に回転しはじめ、景気が上向くことになる。 ほとんどの経済指標が、経済の実態を数字で表しているのに対し、日本銀行の企業短期経済観測調査(日銀短観)は、こうした経営「景気は心理学だ」とよくいわれる。
経済の実態のほかに、経営者や消費者の心理的な側面が景気動向を大きく左右するからだ。 たとえぱ、今の足元の景気は少しも悪くないのだが、国際情勢の緊迫化や経済摩擦などをきっかけに、経営者が景気の先行きに不安感を持ったとする。
経営者は、将来、物が売れなくなるかもしれないと心配になり、増産のための工場新設や、採用人員などに慎重になる。 すると、工作機械を作っているメカや、工場を建てる建設会社などへの注文が減る。
ひいては機械や建設に必要な、鉄などの素材者の心理面を表す指標として注目されている。 が重視されるようになったころから、九九年三月調査以降は、主要企業と全国企業を一本化し、対象企業数は、大企業一四二三社、中堅企業二九五五社、中小企業四九七九社、合計九三六六社(毎回対象企業数は若干の増減あり)と、約一万社の景況判断をまとめることになった。

調査は対象のすべての企業から回答を得ることを原則としており、回答のない企業には回答がくるまで問い合わせを続行。 全国企業でも九〇%以上の回答率を確保しており、調査の信頼度を高めている。
調査内容は、業績の良し悪しや、在庫水準、一雇用状況、業績見通しなど多岐にわたっている。 その中でも、経営者の心理を知るうえで短観は毎年三月、六月、九月、十二月の年四回、郵送によるアンケート方式で実施され、詠翌月上旬に結果が発表される。
ひ変わりやすい心理面の調査だけに、素早い集計が重要で、日銀の幹部でも調査内容が詳しくわかるのは発表の前日くらいだといわれている。 側調査対象は、従来は資本金一〇億円以上の蝶上場企業で、各業種の動向を反映するように↑選ばれた七一五社だった。
これは一九五七年難の調査開始以来、ほとんど入れ替えはなく、主として中小企業対象の全国企業短観の七三七六社の方は五年ごとに対象企業を見直していた。 しかし、景況判断においては日銀短観最も注目されている指標が業況判断指数(D)だ。
収益を中心とした自社の業績について、「良い」「上向いている」「悪い」「下向いている」の中から回答を選択させる。 そのうえで、それぞれの全体に占める割合を%で表し、「良い」「上向いている」の割合から、「悪い」「下向いている」の割合を引いて指数を算出する。
たとえば、自社の業績が「良い」「上向いている」と答えた経営者が合計で全体の六〇%いたのに対して、「下向いている」が一五%、「悪い」が二五%だったとする。 この場合の業況判断は六〇引く四〇で「二〇」になる。
不況感が強まり、「良い」「上向いている」が計二〇%、「下向いている」三五%、「悪い」四五%になったとすると、この場合の業況判断指数は二〇引く八〇で「マイナス六〇」となる。 これまでの業況判断指数の動きを主要企業・製造業で見ると、最高はバブル絶頂期の一九八九年五月と八月の五五で、最低は第一次石油ショック終盤の七五年八月のマイナス六七だった。
これに対し、非製造業は振幅の幅が比較的小さい。 業況判断指数の動きは、景気の動きとほぼ軌を一にしており、業況判断指数がピクを打って少なくなり出すと、景気も山を越えて下降局面に向かい、底を打つと景気も上向く形になっている。

ただし、心理的な調査だけに、回答は好景気、不景気のムドに流される傾向がある。 景気の先行きを占う指標として注目されているが、予想だけに、外れることは多い。
景気低迷時には、「先行きが何とか明るくなってほしい、明るくなるはずだ」との希望を色濃く反映し、予想の指標は良い方に傾きがちだからだ。 バブル後の不況時には、先行き好転予想が何度となく次の調査で裏切られ、不況の深刻さを印象づけることになった。
業況判断のほかに、製品在庫判断や一雇用判断なども重要な指標になっている。


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